第8章 ディープパープル
「智くん、待って」
ニノの手を振り切って楽屋から出ると、潤と智くんが待っていた。
「いこ?翔ちゃん」
智くんが左手を差し出す。
何も考えず、その手を取った。
潤が智くんの腰に手を回して引き寄せる。
三人で寄り添うような格好で歩いた。
智くんのマンションに着くと、心臓がはち切れそうになった。
玄関に入った途端、潤は智くんを捕まえて濃厚なキスをした。
俺はただ、呆然とそれを眺めている。
「潤…翔ちゃんも…」
ちらり俺を見ると、潤は俺の腕を掴んで引っ張った。
「ほら…来いよ」
頭が痺れたように思考を停止した。
二人の唇に吸い寄せられるように近づくと、後は溺れた。
荒い息の音と、唇から出る水音。
智くんの甘い匂いと、潤の華やかな匂い
「気持ちいい…」
智くんが吐息と共に吐き出すように言うと、もう止まれなかった。
潤も同じだったみたくて、強引に智くんの服を脱がそうとした。
くすっと笑うと、智くんはひらりと身体を躱して家に上がった。
「お風呂…入ろうよ」
翻弄されてるのはわかってる
わかってるのに、智くんの作り出す色情はあまりにも甘い匂いを発していて…
常識とかプライドとか、そんなものどうでもいい
溺れたい