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カラフルⅣ【気象系BL小説】

第8章 ディープパープル


「なんでもいいでしょ。翔ちゃん、いこ?」

智くんの声が割って入ると、弾かれたようにニノは智くんを見た。

「あんたまさか…翔ちゃんにまで手ぇ出したの!?」

楽屋がシンとした。

「なんのこと…?ニノ」

智くんは、にっこりと笑った。

「例えそうだとしても、お前には何の関係もないだろ?」

優しい声色なのに、その底には冷たいものが流れていた。

「大野さん…」
「翔ちゃん、いこ?潤も待ってるから」
「うん…」

抗えない声に向かって足を踏み出すと、ニノが俺の腕を掴んだ。

「行っちゃだめ…翔ちゃん…」
「え…?」
「こんなのおかしいよ…」

「翔ちゃん。行くよ」

智くんが背中を向けた。

「…待ってっ…」

ニノの腕を振り切って後を追った。

「翔ちゃんっ…」

声が聞こえたけど、止まることなんてできなかった。

「ニノ…」

背後で雅紀の声がする。
ニノが声を上げて泣き始めた瞬間、楽屋のドアは閉じられた。



おかしい…?


そんなのとっくにわかってる


だけど、止められないんだよ


だって、俺達は魅入られてしまったんだ


この美しい男に…




美しくて、冷たい



死んでしまうとわかっていても



もう戻れない





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