第8章 ディープパープル
天国に居るのか、地獄に居るのかわからない
苦しいけど、甘い
甘いから、やめられない
拒絶できない
その日の収録が終わって、楽屋で着替えているとスマホが震えた。
ポケットから取り出すと、メッセージが来ていた。
”俺の家に来て”
身体を甘い衝動が突き抜けていった。
「ねえ、翔ちゃん?」
突然背後からニノに話しかけられて慌てた。
「な、なんだよ」
「なんか…あった?」
「え?」
「今日、なんか変だよ?」
ニノの目が、俺をまっすぐに見ている。
悪いことをしてるわけじゃないのに、その瞳から目を逸らした。
「別に…」
「潤も…おかしいよ…ねえ、なんかあったの?」
「なんでもねえよ」
「翔ちゃん…!」
ニノが俺の腕を掴んだ。
「なんか…やだよ…最近、皆おかしい…」
「ニノ…」
泣きそうになってるニノの肩をつかもうとした。
「翔ちゃん」
智くんの声が聞こえた。
「帰るよ」
顔を見ると、いつもの微笑を顔に貼り付けてる。
「あ…うん…」
「いこ?」
ニノの横を通り過ぎようとした瞬間、強い力で腕を掴まれた。
「…どういうことなの?」
「え?」
「なんで大野さんと一緒に帰るの?」