第8章 ディープパープル
地に足がつかない。
視界がふらふらしてる。
あれから5人で揃う仕事になる度に、心が乱れて集中できない。
コンサートの企画や打ち合わせ、何をしていても智くんと潤が気になってしょうがなかった。
個人の仕事の時は、それでもあの二人が目に入らないから大丈夫だったけど…
彼女にも会う気にならなかった。
ご家族に会う約束もすっぽかしてしまった。
スケジュールは年末まで一杯で。
仕事の合間を見てこまめに会うようにしていたのに…
楽屋の中は、寒い
入れ代わり立ち代わりスタッフさんやマネが出入りしてる。
だけど俺の前にいるメンバーはそれぞれの恋人と、見つめ合って自分たちの時間を楽しんでる。
いつも通りすればいいじゃないか。
ニュースチェックして、調べ事して。
新聞読んでいれば、時間なんてあっという間に経つだろう?
なのに何故こんなに時間が経つのが遅いんだ。
神経がささくれだって、何にも集中できない。
タブレットをただひたすら流し読みして、時間が過ぎるのを待つしかない。
孤独?
虚しい?
訳の分からない胸の隙間を、俺は持て余していた。
だって男同士だぞ
だってずっと一緒に仕事してきた仲間だぞ
こんなの絶対…おかしいんだ