第8章 ディープパープル
コーヒーをテーブルに置くと、急いで洗面台まで智くんを引っ張っていく。
「大丈夫だよ…」
「だめだって…痕残ったらどうすんだよ…」
智くんは潤に引きずられるようにして歩いてる。
そのまま水を出しっぱなしにして、手を冷やしてる。
マネージャーに氷を頼んで、潤はずっと智くんの腰を引き寄せて逃げないようにしてる。
「大袈裟なんだよ…潤…」
「そんなことない!」
「あ…メイクの順番きちゃうから…」
「ニノ!お前先に行けよ!」
ええーっとニノが抗議の声を上げる。
「いいから…大野さん後回しにしてもらってよ」
潤の剣幕に、ニノはぶつぶつ言いながらも楽屋を出ていった。
「どーしたのよ…潤ちゃん…」
「あ?なんでもねえよ…」
雅紀がなんだか不安げに潤と智くんを見てる。
そのまま俺の方を見たけど、俺にもわかるわけがなく。
ただ洗面台の二人の背中を見てるしかなかった。
そのままリハがあって、晩飯を食べたら本番。
生放送が終わると、衣装のまま他の出演者さんに挨拶して楽屋に戻ってきた。
ニノと雅紀は、相変わらずじゃれあってる。
次の仕事の打ち合わせが終わったら、着替えて帰るだけになった。