第8章 ディープパープル
「あーあ…俺も男とセフレになろうかな…したらバレねえだろ…」
「ばか…男相手におっ勃つのかよ。潤」
「えー…?シャクってくれたら勃つんじゃね」
「…やっぱお前、貞操帯つけろ」
「はああ!?」
くすくす笑う声が聞こえた。
「あれ…智くん、まだ居たんだ」
「…ずっといるけど?」
まるで置物みたいにソファに座ってるから、気づかなかった。
「…ねえ、潤」
「ん?なに?大野さん」
「試してみる?」
「え?」
「だから…シャクってあげようか?」
「…え…?何いってんの…?」
楽屋がシンとした。
智くんはいつもと変わらない笑顔を顔に貼り付けてた。
「なに…言ってんだよ…智くん」
冗談でしょ…そう言おうと思ったけど、マネジャーが楽屋に入ってきて、この話は終わった。
それぞれ送りの車に乗り込んで、俺達は帰路についた。
「ねえ…なんか大野さん、様子がおかしくなかった?」
「え?そうですか?」
俺のマネージャーに聞いてみたところで、わかるわけなかったけど…
でもなんか不安っていうか…得体の知れないものが胸の中にあって。
次のメンバー全員で出る生放送まで、そのもやもやしたものを胸に抱えたままになった。