第7章 グレイ scene5
リビングが粗方片付いた頃、お手伝いの人たちは帰っていった。
なんでも大野さんの釣り仲間やらなんやら仲間やらとかで。
皆、俺を見ても話しかけてくるわけでもなく、黙々と作業してた。
さすが大野さんのお友達。
…変人…
「ニノも帰れよ。もういいよ」
「いえいえ。遠慮なく」
今度は寝室に入っていって、ウォークインクローゼットの片付けを始めた。
それを見た大野さんは、ため息を付いて別の部屋に行った。
「よし。今だ」
ウォークインクローゼットは、服を持たない大野さんには過分な大きさで。
ここなら俺の荷物、余裕で置ける。
カバンから俺の服を出して、次々に配置していく。
「むふふ…いいねえ…」
大野さんのも俺のも片付け終わったら、カバンを棚に乗っけて終了。
ふと後ろを振り返ると、大野さんが呆然とした顔をして立ってる。
「おい…なんだこれ、ニノ!」
「え?なにが?」
「なんでおまえの荷物があるんだよ!つか、さっきの荷物!」
「まあいいじゃありませんか…そっちは終わったんですか?」
「なっ…なにがいいんだよ!なんでおまえの荷物が…!」
「まあまあ…」
大野さんの背中を押して、クローゼットを出て、そのまま寝室も出てきた。