第7章 グレイ scene5
「は…?え…?」
呆然とする肩を押して、無理やり中に入った。
「おっじゃましま~す!」
「は?」
「うわあ…まだ散らかってるねえ~」
「いや…ちょっと待てよ」
むんずと後ろから肩を掴まれた。
「ん?」
「ん?じゃねえよ…なんでここに居るんだよ」
「いや、手伝いしようと思って」
今日は嵐のリーダー大野智さんの引っ越しの日である。
私、二宮和也ははりきってお手伝いに来た。
「そうじゃねえよ。なんで家知ってんだよ」
「は?マネージャーに聞いたんですけど」
「なんで聞いてるんだよ。つか、その荷物なんだよ」
俺の肩にはでかいボストンバッグと、手にはツアーに行くときのキャリーバッグと買い物袋。
「まあまあ、なんだっていいでしょ?さ、片付けようか」
「いや、ニノ!」
大野さんが何か言ってるけど、聞きません。
だって、そんな些細なことはどうでもよくって。
俺の今日の目的は、この荷物を大野さんの家の一員にすることなんですから。
「俺の話を聞け!」
「5分たりとも無駄にはできません。さ、始めますよ」
「に、ニノぉっ…」
お手伝いの人たちに挨拶して、とりあえずリビングから始めた。
「どういうつもりなんだよっ」
まだ後ろでキャンキャン言ってるけど、タイム・イズ・マネー。
口を動かすより、手を動かせ。