第7章 グレイ scene5
「ちょ…牛乳くちゃい…」
「は?ちゃんと拭いたって」
「えー?なんか…乳臭いんだけど…」
くんくん匂いを嗅いでいたら、相葉さんの顔が目の前にあった。
「…なに?」
「べっつに…」
見とれてたなんて、言わないもん。
さっさと立ち上がると、急いで風呂を済ませた。
リビングに戻ると、相葉さんは勝手に俺のキャラ使ってゲームを始めてた。
「ちょ、止めてよ!」
「いやあ…こいつすげえ強い…お前、いくら課金してんだよ…」
「そんなのどうでもいいでしょお?」
今日限りのイベント、仲間と共闘しないと終わらすことはできない。
相葉さんはその共闘に勝手に参加してる。
俺になりすまして…
「もお!やめてよね!牛乳臭いんだから、早く入ってきなさいよ!風呂!」
「わあったよ…そんなに怒るなよ…」
バスタオルを被ったまま、コントローラーを取り上げてゲームを再開させる。
夢中になってたら、いつの間にか相葉さんは風呂から上がってきて、俺のことじっと見てた。
「なによ…」
「ん?なんでもねえよ?」
ビールを飲みながら、ゆったりとソファに腰掛けてる。
そのまま俺の事見てる目は、すっごく優しい目だった。