第7章 グレイ scene5
はらはらと涙を零す潤は、鼻の頭を真っ赤にして子供みたいだった。
「なんでもない…だいじょうぶ…」
そういって、俺の身体をちょっとだけ突き放した。
「大丈夫…?は?何いってんの?」
「だいじょうぶだから…ほんと…」
何を隠そうしてんだよ…
っていうか、全然隠れてねえし。
絶対俺がなんかしたんだろ?
「なあ、潤…」
「帰って…お願い…」
トンと潤が身体を押す。
「潤っ…!」
背中を向けて中に戻ろうとする潤を廊下に押し倒した。
「やだっ…やだっ…」
抵抗する潤を押さえつけて、身ぐるみ剥いでやった。
床は冷たいから、裸にひん剥いたら寝室へ連れて行った。
「ふぇぇ…もうやめてよぉ…」
「やめねーからな。言うまで、やめねー」
「翔くん…やだよお…」
ベッドに押し倒して、潤に覆いかぶさる。
泣いて泣いて、抵抗する腕にはさほど力が入ってない。
俺は難なく潤を押さえ込んだ。
「オイ…ふざけんなよ…?なんで泣いてんだよ?」
「ふ…ふぇぇ…」
ぶんぶん頭を振って、潤は泣き続ける。
「潤…」
両手で顔を掴んで、まっすぐに潤を見下ろす。
くりくりの目には涙が溢れて、まつげは濡れていた。
「言ってみろ…な…?」
優しく言うと、潤は増々泣き出した。