第7章 グレイ scene5
タオルを渡すと、素直にゴシゴシと顔を拭いた。
「…なにがじれったいの?」
「ん~?まあ、いろいろとね」
まだ前髪が濡れてたから、タオルを取り上げて拭いてあげた。
智は大人しく、俺のこと見上げてる。
「雅紀…」
「うん?」
「その…俺といて、退屈じゃない?」
「えっ…何言ってるの?」
「だって…俺、しゃべらないし…別におもしろいこともできないし…」
「いや、別に俺、そんなの求めてないけど…?」
うつむいてしまったから、くいっと顎を上げた。
「どうしたの?そんなこと気にしちゃって…」
「…なんで…」
「え?」
「なんで…俺と一緒にいてくれるの…?」
智の目が、潤んだ。
「ちょっ…どうしたのさ!?そんなの好きだからに決まってるじゃん!」
「でっ…でも…俺たちその…まだ…」
もごもごと智は言いよどんでしまった。
「あ…え…えっと…」
俺も言いよどんでしまった。
俺達は…まだ…キス以上の関係には、なれてなかった。
したい気持ちは、たくさんある。
そりゃ、俺だって男だし…
智だって男だ。
だから…どうしていいのか、わかんないんだよね…
どうやってすんのさ?
男同士のセックスなんてさ…