第7章 グレイ scene5
「智くんは…悪くないよ…」
「俺、説得しようとしたんだ…潤と翔くんは愛し合ってる…だから、おまえの入る隙間は…なかったんだって…」
「智くん…」
「ごめん…それが、こんなことになるなんて…ごめん…」
ぽろりと涙が零れ落ちた。
だめだ…今泣いたら…
泣きたいのは翔くんなのに…
慌てて目を覆い隠してうつむいた。
歯を食いしばって、涙が出るのをなんとか我慢する。
「智くんは…悪くない…」
翔くんが俺を抱きしめた。
「翔くん…ごめん…本当にごめん…俺、どうやって謝ったらいいか、わからなかった…」
「いい…元々は、俺と潤がいけないんだから…」
「違うだろ?そうじゃないっ…」
「智くん…」
「俺が…悪い…ニノを追い詰めてしまった…」
ニノは…あれから一言も口をきかない。
俺たちも、潤の事件から仕事は一つもしてなかった。
ただ、潤の意識が戻るのを待つだけの時間…
重苦しくて、どうにかなってしまいそうだった。
「ごめんね…智くんにまで、こんな思いさせて…ごめん…」
「翔くん…」
「俺は…誰も責めないよ…誰も…」
ぎゅっと俺を抱く腕に力が入った。
「俺達は…俺達の始末をきちんとつけるべきだった…」