第6章 ショコラ scene4
「翔ちゃん…」
「ん…?」
「今度…千葉の実家、遊びにこない?」
雅紀が俺の方を見ないで、ぽつりと言った。
「おう…じゃ、おまえも俺の実家、来いよ」
「…うんっ…」
―――この先、雅紀と人生を一緒に歩いて行くなら…
乗り越えなきゃいけないこと、たくさんある。
お互い、まだ家族にはなにも話せていなかった。
雅紀の家は解約しないでそのままだし、俺の部屋で同棲してるのも、事務所や関係者のごく一部しか知らない。
世間には、公表できる関係じゃない。
だけど、これから先…雅紀とずっと生きていくためには…
俺達は、乗り越えていかなきゃならない。
潤に胸張って自慢できるくらい、しあわせになるんだ。
「翔ちゃん…」
「ん…?」
「ずーっと…一緒だからね…?」
「おう…当たり前だろ」
「ずーっと…俺のおばけ避けだからね?」
「わかってる」
コトリとマグカップをテーブルに置くと、雅紀は俺の方をまっすぐに見た。
「愛してる。翔ちゃん」
「…愛してるよ。雅紀」
どちらからともなく、唇が重なった―――