第6章 ショコラ scene4
「…ありがと…」
潤も雅紀に微笑み返した。
「元気になったら、ツアーの打ち上げやろうな?」
「ああっ…そうだよ!福岡、終わったんだよね?」
潤が泣きそうな顔で俺を見上げる。
「終わった。もう、すっごい盛り上がってたんだぞ?」
「あー…ほんっと、最悪だ…」
「ぶっ…ちゃんと映像見せてもらえよ?」
「わあってるけどさぁ…なんだよもう…」
ぶーたれてる潤に、思わず笑いがこみ上げてくる。
「わっ…笑い事じゃねえんだよ!?翔くん!」
「わかってるって…」
「もう…!他人事だと思ってさ!」
「ぶふふふ…」
ぐしゃっと髪を撫でた。
「早く、元気になれよ」
「うん。わかってる」
にっこりと笑う潤の顔には、暗い影は見えなかった。
”松本さんが努力して秘めているものだとしたら…”
先生の言葉が思い出された。
「頼りにしてるからな。潤」
「え?なに突然…」
「日頃、感謝を伝える機会なんてないからな。こうやって弱ってる潤なんて滅多に見れないから…」
「なっ…なんだよそれ!」
真っ赤になってぷいっと横を向いてしまった。
「元気になったら、皆で温泉でもいこうか!」
雅紀が言うと、潤はにたりと笑った。
「やだよ。俺、二組のカップルに気ぃ使いたくないもん」