第6章 ショコラ scene4
「だから、雅紀もその課題、ちゃんとやれよ?」
「うん…」
「潤は、弱いやつじゃないんだ。きっと乗り越えるよ」
こくりと雅紀は頷いた。
「頑張って、見守る」
次の日、潤を訪ねて行長先生のお宅に行くと、潤のご家族が来ていた。
昨日も面会に来ていたそうだが、潤のことは移動させることが難しくて結局、そのまま行長先生のお宅でお世話になってるようだった。
俺達が顔を出すと、ご家族は部屋をあけてくれた。
「潤、どうだ?」
「うん。まだ起き上がれない…」
「だろうな。俺だってまともに身体が動くようになったの3日かかったわ」
「マジで…?」
「おお。だから焦らなくていいから。ゆっくり休ませてもらえよ?」
「うん…」
窶れてはいるが、その表情は明るかった。
顔色も、血の気が戻ってきていきいきして見えた。
「元気そうでよかった…」
雅紀がつぶやくと、潤は雅紀を見上げた。
「どうしたの?相葉さん」
「ん?」
「元気ないじゃん」
「俺だって疲れたんだよ。逃げ回ってさ」
「あー…もう、ほんと皆には…」
「まあ、言うなって。俺だっていろいろ迷惑かけてんだからさ。気にしないで!」
にっこりと雅紀は笑った。