第6章 ショコラ scene4
「とりあえず、入ろ?」
「うん…」
のろのろと靴を脱いで玄関に上がる。
まっすぐリビングに行くと、残りの福岡の荷物が積み上げられていた。
手の空いてるマネージャー達が運び込んでくれたのだろう。
「ああ~…今からこれ、片付けんのか…」
ゲンナリしてソファに座り込むと、雅紀はふっと笑った。
「手伝うから…さっさとかたそうよ?ね?」
さすが俺の奥さんだ。
俺の操縦術は心得ている。
すぐにソファから立たされると、次々と俺の大量の荷物は片付けられた。
その合間に雅紀も自分の荷物を片してしまった。
「恐るべき手際…」
「翔ちゃんが片付けの段取り悪いだけでしょ?」
「う…」
すっかりと荷物を片付け終えると、雅紀がコーヒーを淹れてくれた。
いい香りがリビングにまで漂ってくる。
「翔ちゃん。お疲れ様」
そう言ってマグカップを俺の前のローテーブルに置くと、雅紀もカップを持って隣に腰掛けた。
「ありがと。雅紀も…お疲れ様」
カツンとカップを打ち当てて乾杯をした。
まだ午前中だから、酒を飲む気にもならないし。
コーヒーがちょうどいい。
暫く二人で黙ってコーヒーを味わった。
「旨い」
「んふ。良かった」