第6章 ショコラ scene4
「松本さんの心の奥底にあるものを、もしかしたら掘り起こしたのかもしれない。けど、それは松本さんが努力して秘めているものだとしたら…」
ずずっとまたお茶を啜った。
「それを皆さんに知られたとわかったら、松本さんはどうおもわれるでしょうかね…」
「え…?」
「大野さんや相葉さんは、とても態度に出やすい」
ずずずずっと今度は長く啜った。
「知らないふりをするってことも、優しさなんですよ」
雅紀と智くんはお互いの顔を見た。
この二人には…難しいことだろうなあ…
なんでもないことや、興味のないことだったらスルーできるんだけど、メンバーに関わることだから…
「…誰もが、心の奥底に持っているものなんです」
「え?」
「だから、特別松本さんが寂しい思いをされていたってことではないと思いますよ」
にっこりと先生は笑った。
「魔というのは…そういったものも掘り起こしてしまう、危険な力があるということです。例えば幼少の頃の記憶や体験であったりね…本人がもう蓋をしてしまったものまで、呼び起こすことだってあるんですから」
誰でも持っている感情…
時々、誰かに自分は必要とされているか、怖くなる。
何があったわけでもないのに、無性に不安になる。
そういうことなんだろうか…