第6章 ショコラ scene4
話してる間に、行長先生が座敷に入ってきた。
一通り話が終わると、潤を布団に寝かせて先生は笑った。
「松本さん…身体がだるいでしょう?」
「はい…なんかもう、力が入らないです…」
「暫く家で静養なさってください」
にっこり微笑むと、潤の額に手を置いた。
「さあ、眠りましょう…」
しばらくすると、寝息が聞こえてきた。
先生は俺たちを見ると台所にくるように言った。
ぞろぞろと行くと、朝飯が用意されていた。
「どうぞ、皆様食べてください」
奥様がテキパキと動き回って配膳してくださる。
皆で黙々とご飯を食べ終わると、先生がお茶を勧めてくださった。
手ずから緑茶を淹れてくださって、俺達の前に湯呑みを置いてくださった。
「松本さんは、ちゃんと戻ったようですね」
「ええ…さっき…」
「まだ半分意識が持って行かれてると思いますが、そのうちきちんと戻ると思うので、大丈夫ですよ」
そう言ってくださるけど、皆なんだか表情が冴えない。
かくいう俺も、なんだか冴えない。
ずずっとお茶を啜っては、湯呑みの底を眺めてしまう。
「あまり、考え込まないほうがいい」
先生はいつもの波平さんスタイルで懐手をした。