第6章 ショコラ scene4
「やっぱり…あの声、潤だったんだな…」
「え?」
智くんが潤の肩を掴んだ。
首ががくんがくんするほど揺さぶり始めた。
「潤!俺はおまえのこと、必要だからな!」
「ちょ、どうしたのよ!?」
ニノが慌てて智くんの腕を掴むけど、それを振り払ってまでまだ潤を揺さぶる。
「あの時、目を覚ましたら声が聞こえたんだ。寂しいって…あれ、潤だったんだ!」
がくがく揺すられてる潤は、そのうち段々表情が戻ってきた。
「潤!おいこらっ!」
「ちょ!首、おかしくなるから!」
潤が叫んだ瞬間、ほーっと智くんは息を吐き出した。
「戻った…」
「潤!」
雅紀が潤に抱きついた。
「おわっ!?なんだよっ…」
「潤!帰ってきた!よかったああああ!」
「え…?なんだよ…これ…」
呆然とした顔で俺たちをみると、潤はすごく戸惑った顔をした。
「おまえ…何も覚えてないの?」
「へ…?なに?」
潤は福岡の前日からの記憶がすっぽりとなくなっていた。
「え…ちょっと待って…わけわかんない…」
そうだよな。
突然、お前猫に取り憑かれてたぞって言われても、わけわかんないよな…
「俺が…?取り憑かれたの?」
ただただ、呆然としてる潤に福岡からのことを聞かせた。