第6章 ショコラ scene4
「ああ…無事です…」
ニノが泣き叫んで俺の腕から智くんを抱き上げた。
「智っ…智ぃっ…」
揺さぶると、智くんは目を開いた。
「あ…」
「智!?大丈夫っ!?」
「あ、ああ…」
なんとか智くんは意識を取り戻した。
「よかった…」
泣いてしまったニノを智くんはぎゅっと抱きしめた。
「泣くなよ…」
「だってえっ…ばかあっ…」
「わかったから…」
真っ青な顔をしている俺たちを押しのけて、奥様は潤に駆け寄った。
「松本さん!松本さんっ…」
さっき潤を押し包んでいた紙はもうなくなっていた。
潤の横で小さくちぎれて散らばっていた。
「式神が砕かれてる…」
呟いた奥様は、潤を揺り起こしている。
「だめだわ…意識が戻らない…」
マネージャーたちが駆け込んできて、潤はソファに横たえられた。
「少し、皆様の力を貸してください。なんとか東京までは…」
そう言って奥様は俺達に背中に触れるように言った。
行長先生の形代が入っていた場所だ。
雅紀が立ち上がって奥様の横に並んだ。
「相葉さん…」
「俺も、やります」
そう言って奥様の背中に触れた。
俺たちも奥様の背後に立って、一緒に潤を見つめた。