第6章 ショコラ scene4
「潤…」
智くんがドアの向こうを睨んでる。
「え?潤くんが居るんですか?」
「ドアの外に立ってる」
カサカサっと音がした。
「智くん…この音…」
「しっ…」
その音は天井から聞こえていた。
「何の音……?」
その瞬間ドアが大きく開け放たれて、潤が飛び込んできた。
智くんとニノがまともにドアにぶつかった。
「雅紀っ…」
とっさに雅紀をかばってソファに倒れ込んだ。
「智っ…」
慌てて身体を起こすと、潤が智くんの胸倉を持っていた。
そのままゆっくりと智くんの身体は宙に浮いていった。
「や…やめてっ…潤くんっ…」
ドアがバタンと閉まって、空間が凍ったように感じた。
冷たい…空気が冷たい…
「ぐ…」
智くんの苦しそうな呻き声。
潤の腕にニノがすがりつくけど、びくともしない。
「やばい…」
立ち上がってニノの加勢するが、やっぱり潤の身体はびくともしなかった。
無表情でじっと潤は智くんを見ている。
「潤っ…やめるんだっ…」
潤の後ろのドアに貼り付けてある護符を、咄嗟に手に取った。
それを潤に叩きつけるようにぶつけると、手が離れた。
智くんの身体を受け取って、後ろに飛び下がる。