第6章 ショコラ scene4
「はあああ…疲れたあ…」
最終日、ここまで無事に乗り切ることができた。
雅紀は疲れ切ってる。
やっぱり気を張り詰めているのか、いつもよりも神経がすり減ってる。
智くんも、なんだか冴えない表情をしてる。
控室の奥で、俺たち4人はぐったりとしていた。
「さあ、今から大楽(最終ステージ)なんですからね。ふたりともしっかりしてくださいよ?」
「わあってるよ…」
智くんにしては珍しくニノに突っかかってる。
やっぱり疲れてるんだ…
雅紀はそんな智くんを見て少し悲しそうな顔をした。
それに気づいた智くんはくしゃっと頭を掻いた。
「ごめん…」
「う、ううん!いいのいいの。気にしないの、ね?智」
ぎゅっとニノが智くんの手を握ると、ちょっとだけ表情が緩んだ。
「ああ…」
智くんはニノに寄りかかって目を閉じた。
…やっぱり智くんも消耗してるんだろう。
いくら本人の力が強いとは言え、あの時あんなにあっさりと潤に失神させられてるんだから…
雅紀が起き上がって冷蔵庫から箱を取り出した。
「リーダー、食べよ?」
それは去年も食べたチョコレートケーキだった。
ニコニコしながらフォークを智くんに差し出す雅紀は、とても落ち着いて見えた。