第6章 ショコラ scene4
とにかく、コンサートが終わるまでは身動きが取れない。
マネージャーたちはコンサート後の潤のスケジュールを暫く休みにするようこれから調整に入るそうだ。
「行長もスケジュールを調整してますから、東京に戻られたらすぐに除霊の準備に入りましょう」
奥様はチーフと話し合っている。
ふと奥様の襟足から何か出ているのが見えた。
ゴミかな…?
「あの…ここ、なんか付いてます」
「えっ…あら…」
奥様はそれを取り出した。
ずるずるとなんか出てきたのは、白い晒に描かれた護符だった。
「うわ。びっくりした」
「ふふふ…横着してごめんなさいね。これ、主人の形代なんです」
「カタシロ?」
雅紀が身を乗り出してきた。
「そうねえ…主人の代わりって言ったらいいかしら…ほら、人の形になっているでしょう?」
そう言ってその護符を広げると、なるほど。
人の形に見える。
胴体の部分に護符が描いてあるが、頭にも何か書かれている。
「これを身に着けてると、どうなるんですか?」
「ふふ…これはね、特別な形代ですからね…企業秘密です」
またか…銀器もそういえばなんなのか教えてもらってないし…
「わ…その布、なんかオーラ出てる」
智くんが言うと、奥様は笑った。
「そうですよ、だってこれは主人ですからね」