第6章 ショコラ scene4
福岡の初日は無事に終了した。
奥様はそのままホテルに向かってもらって、俺達は初日打ち上げに参加した。
そこでは俺達は一人ひとり護符を身につけていたからか、何事も起こらなかった。
腹を満たして少しだけ酒を飲むと、チーフから引き上げるよう指示が出た。
ホテルに戻ると、部屋のドアの内側に護符が貼り付けてあった。
俺達が居ない間に奥様がやってくれたようだ。
部屋に戻ってしばらくして部屋には潤以外のメンバーとマネージャー達、そして奥様が集まった。
そこで奥様から話があった。
護符は絶対に外さないこと。
一人で行動しないことなどを言われた。
「あの…奥様には視えますか?潤に憑いてるもの…」
「ええ…私には猫の姿が見えます」
白い猫だそうだ。
智くんも見えたのは白い尻尾だったと言っていたから、猫鬼に使われた猫は白い猫だったのだろう。
「…とても古い呪いに感じました…だからとっくに術者は死んでいると思います。とても厄介ですね…」
術者が死んでいる以上、猫鬼がどのような呪いを背負っていたのかはわからない。
わからないから、強制的に祓うしかないのだが…
「問題は、松本さんにとても負担が掛かるということです…」