第6章 ショコラ scene4
ギリギリまでホテルで粘ってからドームに入った。
控室の奥にある部屋に護符を貼り付けて、雅紀と智くんはそこになるべく居てもらうようにした。
潤は今朝の事が嘘のように、何事もない顔をしてる。
相変わらず会場でマイクで指示を飛ばしてる。
控室に入ってきてもいつもの調子で身体のアップをしている。
でも…
ごく自然に、潤は奥には近寄らなかった。
開演二時間前になると、控室も慌ただしくなる。
そんな中、俺のマネージャーが見当たらない。
「奥村、見なかった?」
「え?お前聞いてないの?」
チーフによると、奥村は空港に行っているとのことだった。
「は?なんで空港?」
「護符が届くんだってよ」
「は?行長先生?」
「いや、先生は来られないそうでな。代わりの方が届けてくれんだと。郵送とかよりも早いからってな」
そりゃあ申し訳ないことをしてしまったな…
お詫びにその方さえ大丈夫ならライブを見てもらおうか…
チーフに今日の関係者席を一つ空けておいてくれと頼むと、ばっちり用意してあるとのことだった。
届けてくれた人は今日はこちらに一泊するよう、俺達が宿泊するフロアに一部屋とったとも言ってくれた。
他のホテルは満室だからね…
チーフ、有能。
それにしても誰が来るんだろう。
チーフはそこまでは聞いてないようだった。