第6章 ショコラ scene4
なんだか一日ずっと張り詰めていたから、疲れてしまった。
「ふう…」
「翔ちゃん、疲れた?」
「まあな…」
「無理しないでね?俺のことは大丈夫だから」
「ばか…そういうわけに行くかよ…俺はお前のおばけよけなんだぞ?」
「ふふ…」
そっと浴槽の中で雅紀が俺に寄りかかってくる。
「だからだよ…大丈夫。翔ちゃんがそばに居てくれるから」
「雅紀…」
肩を抱き寄せると、いつもの雅紀の感触で安心する。
…もう、あんな思いはお互いにしたくない
雅紀なのに雅紀じゃなくなっていく
俺なのに俺じゃなくなっていく
あんな怖いこと、もう…
「なんで…潤に憑いちゃったのかな…?」
「さあな…なんでなんだろうな…」
とにかく今はわからないことだらけで。
潤が俺たちに危害を加えてくることはないとは思うが、中にいる本物さんが一体どういうつもりなのか皆目わからないから動きようがなかった。
「でも、絶対に潤も辛いはずだから…」
「うん…心も身体も辛いと思う…」
「だから、なるべく俺とニノでフォローするから、お前は近づくなよ?」
「わかってる…」
変な同情心を出すと、近寄ってくることがあると先生に聞いた。
潤のことは、本当に見守っているしかなかった。