第6章 ショコラ scene4
その日は建込みにちょっとトラブルがあって、リハーサルは深夜になってもまだ終わらなかった。
潤はいつもどおりステージで指示を飛ばしてる。
「んー…なんかだんだんいつもどおりの潤くんになってきてますね…」
こそこそとメインステの端の方でニノと話してる。
このことを知っているのはごく一部の人間だから、現場はいつも通りに回ってる。
「ああ…このまま何も起こらないといいけど…」
予定していたスケジュールが終わる頃には、もう深夜の2時を過ぎていた。
メンバーは先にホテルに帰るように言われて、タクシーに分乗した。
ホテルの部屋につくと、部屋に入れてもらってた荷物を開けながら、これからどうしようと考えていた。
とりあえず、俺達だけではなんにもできないしなあ…
ノックの音が聞こえて、ドアキーパーで少し開いてた扉が開いた。
「翔ちゃん?」
雅紀が枕を持って入ってきた。
「おお。こっちで寝る?」
「うん…」
雅紀はベッドに腰掛けて枕を抱えた。
「…怖い?」
「ううん…皆がいるから…大丈夫」
「そっか」
顔がしっかりしてたから、安心した。
荷物を片付けて、雅紀と一緒に風呂に入った。