第6章 ショコラ scene4
飯の時間になって控室に戻ると、スマホに行長先生から返信があった。
潤の様子を隠し撮りして送っておいたその返信だった。
『呪術系の動物のようです』
すぐに折り返し電話をすると、行長先生は電話に出てくださった。
「どういうことなんですか?潤になにか術をかけられたってことなんですか?」
『いえ…違いますね。だいぶ古いもののようです』
「古い…?え?どういうことでしょう」
『ビョウキというのをご存知ですか?』
「え…なんすか?」
『中国の古い呪術で使われるものなんですが、猫を呪いの道具として使うものです。猫の鬼と書きます』
「猫鬼…」
『もしかして術者はもう生きていないかもしれません』
「は?どういうことですか?」
『呪いというのは失敗すると己に、掛けた呪い以上の呪いが掛かります…おそらく術に失敗したのではないかと思います』
「な…なんでそんなことまでわかるんですか?」
『松本さんに付いている猫鬼は、本来の目的を見失って彷徨っているもののようです』
とにかく画像だけではここまでしか視られなかったということで、東京に帰るか、スケジュールが空けば行長先生が福岡に来てくださることになった。
『とにかく松本さんに憑いているものは危険ですから…目を離さないようにしてください』