第6章 ショコラ scene4
一日、潤のことを注意して見ていたが、最初はふらふらして動きものろのろとしたものだったが、だんだんシャープな動きになってきた。
一日を終える頃には、いつもの潤と変わらない動きにはなっていたが、どうも違和感があった。
「…足音がしませんね…」
ニノが俺の横にきてぽつりと呟いた。
「あ…」
いつもは煩いくらいの足音を立てて歩くやつなのに、とても静かに歩いている。
動作も、無駄な動きがない。
俺とニノは取り憑かれた実績はあるものの、霊感は皆無だったので潤の監視役になってる。
ずっとステージに居て、指示待ちの態勢でいるように見せかけて、潤を見てるのだ。
智くんと雅紀にはなるべく控室の方にいるようにしてもらってる。
じゃないと、ふたりとも保ちそうになかったし…
「しかし厄介なことになりましたね…あの潤くんが…」
「なんでだろうな…?あいつが一番関わり合いなさそうなのに…」
「まあ、私と翔ちゃんは彼氏があんなだからしょうがないにしても…潤くんは霊感もゼロだし、周りにああいった人もいないし…」
「東京帰ったら、行長先生にすぐに見てもらおう…」
「ええ…でも、それまで大丈夫ですかね…?」