第5章 こひくれない
脱衣所に出ると、身体を拭いてまた抱き合った。
バスローブを羽織って寝室にいくと、シーツを取り替えて倒れ込んだ。
片付けることなんてできないくらい疲弊していた。
無言でお互いの身体を抱きしめあって、そしてただ眠った。
泥のように溶けて溶けて…
俺達は底なし沼
痛み…
体中を心地よい痛みが走っていた
痛みで、繋がろう
俺達の背負った罪は…きっと洗い流せないから
俺達は生きている時間の分だけ、裏切りという名の罪を背負い続けるのだろうから…
だから、痛みを。
永久に終わることのない痛みを分かち合おう。
翌朝目覚めると、眠っている潤の口に指を入れた。
目覚めた潤はそのまま俺の指を噛んだ。
血が出るほど強く。
キツく。
血の滲んだ指を舐めながら、潤は微笑む。
痛みの分だけ、俺達は無垢になっていく。
誰にも知られない、俺たちだけの儀式…
無言の約束。
この手にあるのは、ただの愛。
ただそれだけのために…
唇に滴る俺の血液を舐めとると、苦い味がした。