第5章 こひくれない
乱れた服
ぐったりと横たわる白い肢体
瞳からは涙が溢れ出ていた
俺は何をしたんだ
泣きじゃくる潤を置いてマンションを出た
コンシェルジュが怪訝な顔をしていたけど、隠すこともできなかった。
そのまま車を出して、逃げるように家に帰った。
すぐに風呂に入って熱いシャワーを浴びた。
手が震えて止まらなかった。
「ごめん…ごめん…潤…」
何度手を擦っても潤の感触が消えなかった。
どんなに熱い湯を浴びても潤の声が消えなかった。
「ごめん…ごめん…」
だから…見ちゃいけなかったんだ…
だから…触れちゃいけなかったんだ…
こんなことになるってわかっていたのに。
眠れないまま夜を明かした。
朝の光が俺の身体を照らしても、何もすることができなかった。
ただ、どうすれば罪を贖えるのか
そればかり考えていた。
手の震えは止まらない。
身体の震えも大きくなってくる。
苦しくて、何度も胸をかきむしった。
だけど、潤のほうがもっと苦しい思いをしているはずで…
どうにもならない失望と、どうにかなってしまいそうな心の間で俺は揺れ動いていた。