• テキストサイズ

カラフルⅣ【気象系BL小説】

第5章 こひくれない


電話を切って改めて封筒を見た。

メッセージも何も入っていない。
気味が悪くて、捨てようかとも思ったけど…

まだ休みがあって暇だった。

ただ、こんなの出向いて写真でも撮られた日にゃ目も当てられないから、変装していくことにした。

開演時間ギリギリに行って席を確認して、誰かわからなかったらそのまま帰ろう。

次の日、張り切って変装した俺は劇場に赴いた。

新春を祝う飾りの中、劇場に入ると華やかな空気に包まれた。
着物を着た女性があちこちに居て、歓談しているのを尻目にそっと座席に向かった。

まだ早かったのか、隣の座席には誰もいない。
ロビーに戻って、ドリンクを頼んで暫く寛ぐ。

この分だと、開演してもこないかもな…
せっかく好奇心に駆られて来てみたけど。
こんな手の込んだ事をするくせに、ビビって姿を見せないかもな。

ゆっくりと飲み終わると、開演の5分前。
また人に紛れて座席に行ってみた。

「あ…」

そこに居たのは潤だった。

ふっと俺を見た潤は吹き出しそうになった。
口を押さえて前かがみで笑いを堪えてる。

「…お前なあ…」
「ぶっ…くく…ごめん…座って?」

どすっと隣に腰掛けると、潤は口を押さえていた手を取った。

/ 1000ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp