第4章 エバーグリーン
東京の2回目のコンサートも無事に終わって、後はもうNHKホールに缶詰。
その合間に他局の仕事もして、リハーサルをして…
目の回るような3日間が始まる。
なんとかこなして、なんとか立ち回って…
コンサートの最終日が、リハ開始の日と重なってたから、遅れを取り戻すのも苦労した。
でもそこを乗り切れたのは…
やっぱりニノが居てくれたからだと思う。
「ただいまー」
玄関を開けると、リビングから覗く顔。
「おかえり…」
どうしていいのかわからないって顔してるけど…
逃さないよ?
「おかえりのちゅーは?」
「ん…う…」
戸惑いながらも俺の身体に腕を回して抱きついてくる。
「お…おかえりなさい…まーくん…」
真っ赤な顔して目を閉じて顔を近づけてくるのが、とてつもなくかわいらしい。
そっと頬を両手で包んで顔を引き寄せた。
唇が重なるとびくっと身体が揺れる。
「冷たい…」
「ん?」
「くちびると手…冷たい…」
そう言って、俺の手をあたたかい手で包んだ。
「お風呂。はいる?あったまるよ」
「うん。入る」
おまえが逃げていかないから
離さないよ?