第4章 エバーグリーン
そのまま暑いから眠れずに居たら、ごそっと相葉さんが動いた。
ぎゅうっと腕に力が入ったから、起きてるのかとおもったら、寝てる。
増々暑くなってきて困ってたら、ぼそっと相葉さんが寝言を言った。
「にの…20円…足りない…」
その声が、なんだか耳に残った。
楽しいような、笑ってるような声だった。
「何の夢みてんのよ…」
なんだかわからないけど…どうやら俺は相葉さんの癒やしになってるようだ。
だから、いい。
ちょっとくらい暑くても我慢してやろうじゃない。
ふんわりと漂ってくるのは、俺んちのボディソープとシャンプー。
それから柔軟剤の匂い。
なのにその奥には相葉さんの香りがちゃんと潜んでる。
その匂いをかぎながら、二度寝するのが習慣になっていった。
そして、いつの間にか相葉さんに腕枕してもらって寝るのも…
習慣になってた。
「おーい」
「はーい」
毎日寝室から聞こえてくる声。
「ねるよー、ニノ」
「わかった、今行くから」
やってたゲームをセーブして。
それから電気消して、ドアを閉めたら相葉さんが腕伸ばして待ってんの。
ちょっと冷静に考えたら、大変おかしなことしてんだけどさ。
毎日やってたらそんな感覚もなくなっていった。