第4章 エバーグリーン
「アカデミー賞な…ほんと嬉しい」
「え?」
「でも、お前がそれだけ凄い人間になったのに、俺は…」
「な…何言ってんのよ!相葉さんだって何本もレギュラー抱えて…」
「だから…そんなんじゃダメなんだよっ…」
「相葉さん…?」
「…ごめん…」
どすんとソファに座ってしまうと、そのままずるずる背もたれに沈んでいった。
「情けねーな…俺…」
その声は掠れて…なんだか切ない響きだった。
「相葉さん…」
「ごめんな、ニノ」
沈黙が痛くて。
どうしていいかわからなくて。
だって、こんな相葉さん知らない。
こんなに感情の読めない相葉さん、初めてだった。
いつもあけっぴろげで馬鹿みたいに素直なのに。
この時の相葉さんは、なんだか知らない人みたいだった。
その後は話すこともできなくて。
重苦しい沈黙の中、どうすることもできずにいた。
そんな空気は深夜まで続いた。
その頃には、相葉さんは資料に目を通してるし、俺はゲームをしていた。
「…そろそろ帰るわ」
「あ、うん…」
「ごめんな邪魔して」
「全然…」
「なあ…」
「うん?」
「これから毎日ここ来てもいい?」
「へっ?!」
「どーせ一人だろ?」