第4章 エバーグリーン
「そしたら…言える…」
「え?何を?」
相葉さんはしまったって顔してから、すぐ真顔になった。
「なんでもね」
そう言ってまた資料に目を落とし始めた。
「ねえ…なんなの?」
「なんでもねえって」
…なんか、だんだんムカついてきた。
この半年、俺が悩んでたのは一体なんだったんだ。
この人の態度に振り回されて。
なんかしたかなとか、すげえ悩んだのに。
いきなり前と変わらない態度。
そりゃ、仕事の時は前と変わらない…
いや、前以上に親しげな態度だったけど。
プライベートは全然違ったじゃないか。
「そういえばさ」
「んだよ」
ちょっとびっくりした顔をこちらに向けた。
「なんで怒ってんだよ?」
「べっつに!」
なんでこの人、こんななんだろ。
わかってるよ?
ミラクルな思考の持ち主だって。
でもこんなに何考えてるのかわからないなんて初めてだった。
いつもこの人の考えることなんて、ミラクル以外は俺の思考の範疇内だったのに。
俺の手の中に、いつだって居たのに。
「怒ってるだろうが!」
「怒ってねえよ!このあいばか!」
「ああん!?なんだよ突然」
「知らねえよ!お前こそなんだよ突然!」