第4章 エバーグリーン
「あ、うん。乾かしてくるわ」
「おう」
そう言って、カバンから何かの資料を取り出して眺め始めた。
「ん?行かねえの?」
まだぼけっと相葉さんを眺めていたら不思議そうな顔をされた。
「あ、行ってくるわ…」
なんで…
なんでこんな普通なわけ…?
洗面所で髪を乾かして戻っても、いつも通りの相葉さんがそこに居た。
「なにしてんの?」
「え」
「座れば?」
「うん…」
なんなの…
突然連絡無視するようになったかと思ったら、突然普通に戻って…
なんか俺、振り回されてない?
「あのさー」
「うん…」
「俺、紅白の司会決まったじゃん?」
「え?うん…」
「絶対…やり遂げるから…」
「う、うん…」
まっすぐ俺を見た。
「…アカデミーの映画のカード見せて?」
「え?」
「言ってただろ?映画がタダになるカード」
「あ、ああ…どこしまったかな…」
リビングの棚の引き出しを探ってカードを見つけ出すと相葉さんに渡した。
「ふうん…」
まじまじと見つめて、また俺の顔を見た。
「俺、やるから」
「え?なにを」
「ちゃんとやりきるから。司会」
「うん…」
何をいいたいんだ?