第4章 エバーグリーン
アドレス帳の「あ」のページを何度も行ったり来たり…
半年前からこの番号に掛けることはなくなってた。
ラインもしてない。
俺が打っても返事が来ないから。
もう傷つきたくなかった。
家でひとりで今までなにしてたんだっけ…
ゲームをしてれば時間は過ぎていく。
だけど、してない時間だってある。
俺は何をしてたんだっけ。
スマホを眺めながら何度も何度もスクロールしては過ぎていく名前。
最近、こんなことをしてる時間が増えた。
年末になって忙しくなって。
ツアーに行った時はそうでもないんだけど。
ぽっかりとオフになった日。
自宅で俺はずっとぼけっとしてる。
「あ…あ…あいばさん…」
ちらちらと画面を過ぎていく文字は、俺に語りかけることはなく。
一体なんでこんなことになったのか…
なんにもわからないまま時間は過ぎていった。
「まーくん…まさき…」
ごろんとソファに横になっても、なんにも変わらない。
この部屋の風景だって、俺の手の中にあるスマホの画面だって。
なにもかわらないんだ。
ぎゅっとスマホを握りしめるとソファの座面に放り出した。
途端に鳴り出したスマホにびっくりしてソファから落ちそうになった。