第3章 萌葱-moegi- scene2
「そんな情けない顔しないの…智…」
「でも…俺、なんにもできなかった…」
ぎゅっと雅紀は俺の肩を抱き寄せた。
「俺もだよ…ほんと、情けない…」
「雅紀…」
「でもね…ニノや潤がなんで助けてくれたか…わかる?」
「え…?」
「智が、翔ちゃんのこと誰にも言わないで、ずっと一人で耐えてたからだよ?」
こつんと頭を付けられた。
「…俺達のこと、考えてくれてたんだよね…?智…」
「え…?」
「せっかく上手く行ってた嵐を、ぶち壊したくなかったんだよね…?」
「そう…だけど…でも、それは怖かったから…」
「嵐が壊れてしまうことが怖かったんだよね…?」
「うん…」
「みんなが頑張ってるから…それを台無しにするようなこと、できなかったんだよね…智は…」
そうなのかな…そこまで深くは考えてなかったけど…
「そもそも、翔ちゃんが悪いんだけどね…でも、そうやって耐えていた智を、あの二人はちゃんと理解したから、こんなことしたんじゃないかな…」
「雅紀…」
「……翔ちゃんのこと、許す…?」
「えっ…」
「俺は、許せない」
ぎゅっと肩を掴む手に力が入った。
「多分、一生許せない…だから、智も許す必要なんてないからね?」