第3章 萌葱-moegi- scene2
名古屋の公演は、何事もなく終了した。
本当に何事もなかった。
次の日目覚めた俺は、自分の部屋に居て。
隣には雅紀が居て、腕枕して寝てた。
ドームに入ったら、楽屋には3人が居たけど、別に何もいつもと変わらなくて。
あれは夢だったんだろうか…
名古屋の打ち上げも、帰りの新幹線も何もなくって。
帰った日、翔くんの生放送を見ていてもなにも変化はなかった。
「どうしたの?智」
雅紀がお風呂から上がってきて、テレビを見てる俺を不思議そうに見てる。
「ううん…別になんでも…」
ふとテレビの画面を見ると、雅紀は微笑んだ。
リモコンでテレビを消すと俺の隣りに座った。
「気になる?翔ちゃんのこと…」
「え…うん…」
くしゃっと雅紀は笑った。
「たぶんね…もう、なんの心配もいらないよ?」
「えっ…なんで?」
「潤とニノがそう言ってた」
「なんで?なんで?」
「ふふ…」
雅紀は本当に屈託なく笑った。
こんな笑顔見るの、久しぶりだった。
「今日ね、潤とニノはどこに居ると思う?」
「え?」
「翔ちゃんちに居るんだって」
「えっ…ええっ!?」
「あの3人、多分付き合うことになると思うよ…?」