第3章 萌葱-moegi- scene2
それから年末の慌ただしい時間は過ぎていった。
あっという間に名古屋のコンサート前になった。
その間も雅紀に仕事以外で会うことはできなくて。
忙しいのもあるだろうけど、段々雅紀の元気はなくなっていった。
「ねえ、大丈夫…?」
楽屋で隣りに座ってるとき、小さな声で喋りかけた。
「ん?なにが?」
平気そうに笑顔を作ってる。
「体調、悪そうだよ?」
「…そんなことないよ」
そう言って俺に笑いかけるけど、すぐに目を逸した。
不思議に思って振り返ってみたら、そこには翔くんが立っていた。
じっと俺達のことを見ていた。
「大野さん」
ニノが楽屋に入ってきて俺を呼んだ。
「なに?」
助かった。
「ちょっと来てもらえる?」
顎でしゃくられて楽屋の外に出た。
「助かったよ…ニノ…」
「うん。潤くん待ってるから、行こ?」
「え?どこいくの?」
「証拠、掴んだってさ」
ぱたぱた走るニノの後についていったら、休憩スペースで潤が待ってた。
「あ、リーダー…」
ちょっと暗い顔をしてる。
「証拠って、何…?」
潤はスマホを差し出した。
「この前、翔くんと雅紀と3人で仕事あったとき…二人が喋ってるの録音できた」