第3章 萌葱-moegi- scene2
その夜、仕事が終わってから潤に連絡を入れた。
今、汐留に居るからって言うから近くまで事務所の車を付けてもらった。
外で待ってたら、潤が近くの居酒屋行こうって連絡してきた。
着いてみたら、そこにはニノが居た。
「え…?どうしたの?」
「まあまあ、いいから座んなさいよ」
そこはおしゃれな個室の居酒屋で。
靴を脱いで入ると板敷きに掘りごたつになっていた。
壁にはなんか水墨画っぽいものまで飾ってある。
暫くしたら潤も到着して、俺は二人を前に戸惑ってしまった。
「あの…なんでニノ居るの?」
「ふふ…俺の心当たりって、こいつ」
「えっ?」
「いやあ…びっくりしましたよ…ね、大野さん、話ちゃんと聞かせてくれない?」
店員さんが来て注文を聞いていって、ビールが運ばれてくると俺は心決めた。
とにかく協力してくれるって言ってるんだから…
一杯目のジョッキを飲み干すと、俺は話し始めた。
「5、6年前くらいなんだけど…」
一人暮らしを始めたばっかりの頃だった。
翔くんが俺の絵をみたいって言って。
いつも楽屋で見せてたんだけど、そん時に書いてたのが見たいって言うから、家に招待した。
そして、あんなことになったんだ…