第3章 萌葱-moegi- scene2
潤は俺をマンションまで送ってくれた。
「ちょっと寄っていってもいい?」
「え…」
「あ!なんもしないから!絶対…」
気を使って言ってくれてるのがわかったけど、今の俺はもう心がガチガチに固まってしまってて…
頷くことができなくなってたら、スマホを取り出して何か打ち込み始めた。
暫く画面を見ていた潤はにっこり笑って俺を見た。
「雅紀の許可とったから、ね?」
そう言って画面を見せてくれた。
詳しい話はせずに、俺の具合が悪いからマンションに上がるよってことだけ伝えてた。
それに対する雅紀の返答は短かった。
潤に身体を支えられて部屋に入った。
「どうする?寝室で休む?それともリビングでいい?」
「リビングでいい…」
リビングのソファに座らされると、潤は買ってきたコーヒーを俺の前においた。
来る途中、コーヒーショップに寄って買ってきたものだ。
「これ、生姜入ってるから身体あったまると思うよ」
そう言って潤は自分の分に口をつけた。
「で、さ…なんで、あんなことになってたか…教えてくんねえ?」
潤はあの時、別の打ち合わせで本社に来ていたそうだ。
俺が居ると知って、顔だけ見ていこうと思って会議室に来たら大きな声が聞こえて驚いたと。