第3章 萌葱-moegi- scene2
必死に腕に力を入れて、あいつからちょっとでも遠くに行こうと身体を引きずった。
いきなり髪を掴まれて、後ろに引っ張られる。
「あうっ…」
「ねえ、智…なんでわからないの?」
「な…にがだよ…」
「なんで俺のものにならないの?なんで雅紀なの?」
「俺はっ…雅紀が好きだからっ…」
「へえ…」
身体を床に突き飛ばされてあいつが馬乗りになってきた。
「悪いことしたなって思ってたのに…だから反省して今までおとなしくしてたのにさ…智は別の男、咥え込むんだ…」
「あんなことしといて…何いってんだよ!」
「智だって感じてたじゃん…忘れられなかったんだろ?」
「違う…違うっ…」
「俺は忘れてないよ…?智が俺のこときゅうって締め付けてくれたこと…あんなに感じてくれて、嬉しかったよ」
「やめてっ…思い出したくないっ…」
また髪を掴まれた。
「もう忘れたんだ…しょうがないか。ずーっと、放っておいてごめんね?」
「い…嫌だ…触るなっ…」
「今、思い出させてあげるからね」
あいつの手が俺のシャツに掛かった。
思いっきり引っ張られて、ボタンがはじけ飛んだ。
「やだああっ…」
頭が真っ白になった。