第3章 萌葱-moegi- scene2
雅紀が俺の両肩を痛いくらい握った。
「まさ…」
「嫌いになんかっ…絶対にならない」
「うん…」
わかってるよ…
わかってるんだけど…
足元が崩れるような、そんな恐怖は。
雅紀には、きっと…
「雅紀…大好きだよ…」
「うん…うん…」
ぎゅうっと抱きしめられて…
それでも埋まらない何かがあることを知った。
雅紀のことをあいつが知ったら
どうなってしまうんだろう
「抱いて…」
「うん…」
「ごめん、酒臭くて…」
「全然気にならない」
ふわっと俺を抱き上げて、寝室に入った。
「あ、風呂入ってくる…」
「ん…待ってる…」
雅紀が寝室を出ていくと、途端にだるさが襲ってきた。
考えないようにしても、あいつのことが頭にちらつく。
あの時の…あの目…
あの息遣い…
俺を、物のように扱ったあの…
「智?寝ちゃった?」
「あ…」
いつの間にか眠ってしまっていたようだった。
雅紀はバスローブをひっかけただけの姿でベッドに座っていた。
「ごめん…」
「智、寝ちゃう?」
「やだ」
バタンと雅紀をベッドに押し倒した。
「雅紀、ちょうだい?」
そう…全部…
全部全部ちょうだい
俺を、雅紀で突き破るくらい