第3章 萌葱-moegi- scene2
「わかった!」
これ…雅紀の部屋の鍵だ!
これって…今日行ってもいいってことなのかな…
ドキドキした。
鍵を渡されるなんて初めてで。
しかもこんな形で…
サプライズってやつだよね。
付き合って1年ちょっと。
お互いに忙しいから、そんなにゆっくりと過ごすこともできなくて…
この前の俺の誕生日もゆっくりできなかった。
その前の年は、大阪でライブだったし…
”今日は23時には帰ると思うから…来る?”
クイズの出題はそこで終わってた。
”いく!”
”じゃあ、お家で待っててね”
”わかった!”
それだけ打ったら、早速雅紀の家に行く準備を始めた。
時間は19時。
お風呂に入って、荷物をバッグに詰めた。
スマホを見たらまだ20時前だった。
でも待ちきれなくって、タクシーを呼んで雅紀の住んでる所に向かった。
街はもう、クリスマス一色で…
賑やかな町並みも、恋人が居ると輝いて見える。
この中を手を繋いで歩くことはできないけど…
雅紀の誕生日はイブだから、街中が雅紀の誕生を祝ってるような気までした。
「もう…俺ってアホだな…」
ちょっと渋滞してたから、雅紀の家に着いたら21時を過ぎていた。