第11章 花の散り時
本で読んだことはあったし、いつかは自分の身にも起こることではあったけれど。
(こんなにもドキドキするものなのね)
書かれていたことは大げさではなかったのだ。
ファンドレイに見つめられるだけで胸は高鳴り、触れられているところは発熱しているのではないかと思うほど。
「あっ?!」
突然走った刺激にジョエルは驚いたような声をあげた。
するとファンドレイの手が一瞬止まりかけ、またくにゅくにゅと柔らかな秘部を押すように撫でてくる。
「んっ…ふぅっ」
ある一か所に指が当たる度、甘い疼きがジョエルを襲う。
ファンドレイの首にしがみついて吐息をもらせば、弱点を見つけたとばかりにそこだけをグリグリと押し始めた。
「ひぁっ、あ、んんっ」
下着の中が濡れているのがわかる。
ぷくりと膨れた芽からジンジンと熱くビリビリとした何かが脚を通ってつま先へと流れていく。
(おかしくなりそう…っ)
腰が浮いて、ファンドレイの手にさらに押し付けるように揺れる。
自分の身体じゃないみたいで、ジョエルはふるふると首を振る。
「も、あ、だめっ…変に、なって、あっ――!!」
ピンとつま先にまで力が入って、ジョエルは何が何だかわからない波に飲まれた。
「っはぁ…はぁ…」
ぼんやりとファンドレイに視線を送れば、苦しそうな表情で自分を見下ろしていた。
思わずその頬に両手を伸ばして引き寄せ、彼の唇に自分のそれを押し当てる。
そうして、彼の首元までしっかりと閉じられた団服に手をかけた、そのとき。
「――ジョエル様」
コンコンと自室の扉をノックする音と、侍女の声。
(マール?! こんなときにどうして?!!)
焦るジョエルに、ファンドレイが慌ててベッドから降りてシーツを被せる。
濡らしたタオルを手渡され、ジョエルが額に乗せる間に彼は素早く扉の前に移動した。
「ジョエル様?」
再びのノックに合わせてファンドレイが扉を開ける。