第11章 花の散り時

　そんなジョエルの心境などお構いなく、ファンドレイは白い首筋に唇を這わせてきた。

「んっ…！」

　ザラリと舐めあげられて、もう腰が砕けそうだ。
　鎖骨をなぞる指と、かかる吐息。
　下着のことがいっぺんに頭の中から飛んでいく。
　ファンドレイの舌と唇がジョエルの肌の上を滑る。
　ゾクゾクして背中を反らせてしまうジョエルを片腕で支えながら、ついにその唇と指がコルセットに到達する。
　くい、と胸を覆う部分が暴かれると同時に彼の熱い吐息が離れていく。

「あ……」

　晒された胸を見られている。
　苦々しげな瞳がジョエルを見下ろしていた。
　じっくりと視姦されているということに気づいたジョエルは羞恥に染まる。

「そ、そんなに見ないでくださいませ……」

　身をよじって腕から逃れようとするが、叶わず。
　ジョエルの身体はベッドに押し付けられて、ファンドレイの両手が豊かな胸へと伸びてきた。
　その柔らかさ、大きさ、肌触りを確かめるような優しい触れ方だったのが徐々に官能的な手つきに変わり始める。
　指でするりと乳輪の周りを撫でたかと思えば、手の平が先端を掠める。

「んっ……」

　ツンと尖り始めたそこに、ジョエルは頭がパニックになっていた。
　じわじわと何か得体の知れない感覚が襲う。

（これは、何…？）

　胸の先がきゅうっと縮こまるような、それでいて突き出すような。
　不思議な、でも刺激的で…もっと、と求めてしまいそうだ。

「あっ…」

　くにゅくにゅとファンドレイの指に摘まれて、ジョエルはビクッと身体を震わせた。
　自分でもそんな風に触ったことなんてないのに、あのファンドレイが夢中になって胸を弄くりまわす。
　ジンジンとした甘い快楽が押し寄せてきていた。

「ひゃ…っ！」

　胸に顔を埋めてきたかと思えば、ぺろりと突起を舐められてジョエルは声を上げた。