第8章 売られた喧嘩~ファンドレイ視点~
同僚から聞いたところによると。
令嬢と名のつく女は、皆猫を被っているらしい。
なるほどと思った。
なぜなら、自分の知る伯爵令嬢はきっちり猫を被っているからだ。
婚約者がいるのにもかかわらず、下位の男と遊んだりするような女もいると言う。
後腐れない関係ならそういうのも有りだ、という同僚は、非常に整った顔をしていて、女に困ったことは一度もないな、と笑って言う。
彼はそれなりの地位にいる。
公爵家の娘や息子というのは、こんなのばっかりなのだろうか。
そう思っていた矢先のこと、だった。