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【R18】君は華より美しい(仮題)

第4章 知りたい


 友人であるプレイラが彼の幼馴染みだと知って、ジョエルはすぐにプレイラをお茶会に招待した。
 だけれども、何が聞きたいとか、知りたいとか、何の目的もなくて。

(あたくし…何がしたくてプレイラを呼んだのかしら…)

 ただ、プレイラを呼べばファンドレイという存在に近づけるような気がしたのだ。
 彼のことを思うと、胸がドキドキする。
 あんな風に力強く見つめられたのは初めてで。
 体の奥のどこかをギュッと掴まれた、そんな感覚を味わった。
 このドキドキは、どうしたら治まるのだろうか。
 消えて欲しいと思っているわけではない。
 一体何がこんな気持ちにさせるのか、原因を知りたい。

「どうして…こんな気持ちになるの…?」

 ジョエルはプレイラに答えを求めた。

「んん…ジョエルが、ファンドレイに興味を持ったから、じゃないかしら」
「興味…」
「ファンドレイのこと、ジョエルは詳しく知りたいと思ったことはあるの?」
「……わからないわ…。名前が知りたくて、聞いたりはしたけれど…」
「もう一度会いたいって、思わない?」
「もう一度…?」

 彼にもう一度会えたら。
 彼は、自分をどういう風な目で見るだろう。
 ジョエルにしかめっ面を見せてくれるだろうか。

「…会いたい、わ」
「そう。実はね、今週末のパルマンティエ公爵のパーティーにファンドレイは招待されているの」
「そうなの?」
「そのときに、声をかければいいのよ」
「えっ!」
「えっ、って…会いたいって言ったのはジョエルなのよ?」
「そ、そうだけれど…でも…」

 いきなりすぎる、とジョエルは思った。
 けれどプレイラが「悠長にしていては駄目よ」と首を振る。

「ファンドレイはもう25歳なの」
「え…」
「わかるわよね、この意味が。結婚はまだかもしれないけれど…ファンドレイが婚約者を決めたら、パーティーには来なくなるわ」
「結婚…?」

 "結婚"の言葉にジョエルはハッとした

「そ、それは駄目…!!!」

 結婚とは、あの琥珀色の瞳が他の誰かを見つめるということに他ならない。

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